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2026-01-01から1年間の記事一覧

孵化

考えが上手くまとまらない。混線して、淀んで、屈託して、世知辛い状況が身を置くことの大事さを営んで、なにも書くことがない……と唸る僕の尻を叩く。叩いて、何も書くべきじゃないことがなにかを書くに至らしめるのだとしたら、それは不治の病か万能の薬か…

混線

クアトロフォルマッジ、お母さんが好きだった。チーズだけのピザ、僕は初めてそれを見た時に、「どうしてそんなの頼むんだ?」と不思議に思った。ピザにはサラミや、ピーマンや、ウインナーソーセージが輪切りになって乗っているものと思っていたし、そこに…

羞恥

恥ずかしさの第一関節が折れている。根元から、ぐきりと折れ曲がってしまい、私の背筋は曲がっているし、身体は常に前傾姿勢をとるし、腕は常に居心地が悪そうな態度で身体の周りをうろちょろする。して、邪魔になりそうな雰囲気を察すると身を捩る。身体ご…

耳鳴

湯舟に浸かり、顔を沈めると耳の位置が気になり始める。耳穴に水が浸かるか、浸からないかのぎりぎりまで沈め、呼吸に合わせて膨らむ肺の体積分に水位が上昇した時に、耳の中に水が入り、『こぽ』という。そのまま水に顔まで浸かると、『こぽ』は『こぽぽぽ…

剥製

鴨の端、カモノハシの顔の感覚はかなり詰め詰めの関係値を示していて、葛根湯飲んで限りなくみなぎってきた括約筋を引き締め、感謝の心を忘れずに、描く、描く、描く。 3Bの鉛筆はざっと辺りを取るために使う丁度良い濃さで、2Bだと少し硬い。細くタッチを付…

生活

生活がずっとなくて、ないからないなりの生活を送っていて、生活がないということと生活を送れているというのは両立する事象なのだ。なぜか。それを説明しようとしても私には生活それそのものが欠落の証明であり、なまじ直視したくないものであり、ないから…

審美

昔幾何学構成の絵画にハマったことがあって、具体的に言うとカンディンスキー、モンドリアンの絵画にハマった。ハマった理由はシンプルに飽きていたからで、それまで僕はpixivでケモホモの絵ばかりを描いていたし、描けばそれなりに見て貰えていたけれど、な…

搬入

なんの気なしに腕が動く。動く、前後運動する。ごりごりと上腕筋が盛り上がった太い腕が肩の部分まで捲し上げられたぼろりと露出した腕が機械的に動く。振動で肌が震える。張りのある表面にリズミカルに血管が浮き沈みし、低い男たちの声が応援なのか歓声な…

誤飲

僕は眠りにつく頃合いに全てがふんわりとした風景を見た。それは家族がみんな暖かく、微睡んでいること。世界に色がなく、ただ優しさだけが感じられる痛みが存在しない世界。抽象のモノクロームの情景の中に、車から見える一言、男性の変な声、上ずった悲鳴…

独善

中学生の時に美術教師が『秒速五センチメートル』を教室内で流し、ほぼ一人で制作した映画であること、背景美術の美しさを真剣に語っていた時、僕はまだ十代も半ばくらいのひよっこで、ひよひよひよっこで、心も身体もぴよぴよとしていたわけなんだけど、そ…

形骸

いつか滅びゆくものに思いを寄せるとか寄せないとかそんな感じの具合、全ては具合として適当に思い焦がれるのは適切な入力と出力を繰り返す意味のある行動、模範的な行動、由緒正しき行動、卒ない行動、全部がより取り見取りの抽象理論にあたしはもう参っち…

純真

あの瞳の奥に辛い現実が一層差し迫ってくる現実が、これ以上のないくらいに絶望的で、甘美な現実が、一切合切かなぐり捨てて襲い掛かってくる現実、そんなもの甘い蜜にしちゃって繊細なバージョンアップ決めれば軽快インドネシアに旅行をしたいな貨物船に乗…

侵入

今日は疲れた明日も疲れるはずいつも疲れている昨夜は寝すぎて眠くなくなった朝日が昇ることは荒野に陽が差すことと同じくらいに明るくて僕はひんやりとした寝処に楠の葉を敷いて寝そべった。呼吸をすると神経が想像以上に研ぎ澄まされていて、ここは模様が…

楽園

今日と同じくらい白い日々、明日も同じくらい黒いひび、割れた線が描線として、メイクが割れたファンデの痕みたくあたしの正体を黒く化けて出る猫の正体を広げて、広げて、あたしは漏れ出てくる自分の感性が耐えがたく苦痛で、それは世界にとって自分が正し…

共振

ああ触れる海の繊細な余剰を噛みしめて僕は悲劇のヒロインぶる君を世界の端から眺めた殺気だったあの瞳がまだらに垂れて悠然たる表情を浮かべるのは君が絶望的な広いんだから飛び出た視覚胸板に薄い血の色が滲んでああカルト的な魅力は存外丁寧な暮らしぶり…