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変態

ラッキー買いかぶって一文無しで無限爆上げのテンション感の規模感でおれは嬉しい燃えている気が全身から昂っていて炸裂して煽情的で今なら何でもできる気がする、人を殺すことも、野郎と寝ることも、おれは最強で最強だから何でもできて、何でも出来るなら何でもできる気がするんだ。わかるか?おれは今なにかしていないとしてもそれはしているということになるし、逆もそうだ。なにかしている時にはなにもしていないような顔をする、それがどういうことかわかるか?……おれにもわかんねえ。けどよ、世知辛え世の中でもよ、一筋の光っつうもんはあるんじゃねえの。おれは電車に飛び込む野郎の気持ちはよくわかんねえけどよ、もしおれ自身が明日死ぬってなったとき、絶対にきれいになんて死なねえとは思うよな。一番見苦しく後片付けが面倒なやり方で即死できるように、家系ラーメン食べまくってにんにくだらけに腹の中をパンパンにした状態で線路にダイブする、それって最高の皮肉じゃあないか。ないか。ないのか。おれの言うことが間違っているか?

 

間違っていない。僕はそう答えた。何度も繰り返し質問するその感じ、その皮膚感覚、相手に詰め寄る時に四白眼になる眼光、短く刈り上げられた頭髪、全てが僕にとっては恐ろしく、恐ろしいがゆえに感慨な感情に耽ることもある意味では必然で、僕はこのおれが僕に対してなにか暴力的な企みを見せるかもしれない、ということには極めて同意をするし、それは僕という匿名の心がどこかに行ってしまって戻ってこれなくなるような風船みたいな内情を醸しているということにも、このおれは気付いていないし、だからこそ僕は僕の言葉なんて暴力の前では無力なんだと思う。もっと絶望的な現象は世の中にはそりゃたくさんあるだろうけど、僕はこの目の前のおれがもし、本気の力で僕の首を絞めたら、僕はあっという間に虫の息、息すらも蚕の幼虫くらいに無力になるだろう。養蚕、僕は買われた蚕だ。結局、文明とか文化に守られていない限り生存できないか弱いもの。こいつは違う。一人の足で立っている。地面と平行に存在している。その地下からやってくる感覚が僕には恐ろしいのだ。

 

おれは内心わかっている。僕がおれに対して抱いている恐怖の中に、ほんの少し桃色のやわな色合いを見せていることに、おれはわかっている。だがおれはそこに対して言及はしない。ただ風前として佇むだけだ。なにもしなくてもこいつはおれに対してなにもしてこない。というよりは、力関係が既に出来上がっているおれたちだから、僕がなにか企んでいたとしても、それは指先の器用な連中がポークビックみてえな陰茎をまさぐって玉の方が大きいくらいの情けないちんぽでみっともなく射精するような、そんなか弱さをおれに見せてくるに違いない。どうか僕を踏んでください、と跪いて、おれに奉仕をしたがるだろう。おれは一度は受け入れてやるかもしれねえけど、二度はない。二度目がないとなるとこいつはもうおれの奴隷だ。二度目を貰えるまで一生おれに尽くすようになる。そうやって飴と鞭を繰り返すことがやぶさかではなく、おれは結局支配したいのだ。おれより強い誰かを、屈服させたくて仕方ない。

 

僕たちはどこか知らない世界の狭い部屋の中にいた。ここには僕らしかおらず、簡素な漆喰の壁と、適当なタイルと照明と、あと一人用のベッドがある。けれど、トイレやバスルームはないし、僕らはくたくたに疲れている。歩き疲れたんだ、心というなの心象風景をただひたすら感覚という磁石にたよってここまで来ただけで、ここだって永遠ではないかもしれない。か細い希望のようなものが僕に調べを与えるように、僕は中立で、孤独な態度を崩さない。おれはそれを見透かしている。おれはいつまでもこいつの弱さがただの弱さとしてあることが許せねえし、おれより暴力的なのはこいつだ。こいつの方にまでおれみてえな不器用さが伝播することは許せねえし、なによりおれが許せねえことは、すなわちぶっ殺すっつうことだ。おれは殺戮や衝動や、およそ身の毛もよだつ感覚が育って生まれた概念であり、そんなことをおれ自身が把握していなかったとしても、してもだ。狂っていく身体感覚の中で、おれだけが摩耗していくことは耐えられねえし、だからおれは僕を使った。こいつは僕を使うことで僕を支配し、僕の中にある言葉という武器を用いようとした。それは僕らのジャムセッション、つまりランダムに生まれてくる言葉がなんらかの引力を持ってくっつき合うことであり、たまに離れたりする過程も……過程も、なんだっけ。知らねえよおれに聞くな、おれはお前の言葉が理解できん。不必要に喋るし、なによりいやみったらしい。おれに嫌味を言うな。いったらお前の両腕を抑えて渾身の力で頭突きをするからな。おれの頭はいてえぞ?針見たく鋭く尖ったものがお前の尿道にぶっ刺さるよりも断然痛い、視力を失うほどの痛さだ。痛みの種類が違うんだよ。おれは物理的、お前は感覚的。僕はそれを聴いて、少しの間躊躇って、それでこいつの中には本気で僕を殺すつもりはないということをやんわりと理解した。というよりも、僕らの元々の敵は『システム』だ。それを破壊するために生まれて来た人格としての僕らが、仲違いをして傷つけあうわけがなくて、そこには薄いベールがある。それはいくら探しても切れ目が見つからず、そしてどれだけの力を用いようとも決して破くことのできない柔らかい絶望。知っているか、絶望とは美味いんだ。おれは絶望を食ったことがある。食らって、おれ自身の血肉にして、ハムみてえに味わったことがある。美味かったぞ、人工調味料をふんだんに掛けたチキンステーキよりもぷりぷりで、フィレンツェの主婦が手作りしたマスタードソースよりも奥深く、東京中を探しても見つからねえくらいにはどろりと甘い、あらゆる味が折り重なって出来上がった奈落のような味が最適な温度に設定されたオーブンから出てくるんだ。感動ものだぞ、まあお前みてえな僕がそれを食べようものなら一斉に眩暈を起こして、虚脱して、神経衰弱に陥ること間違いなしだ。だからこの身体の絶望は、おれが食べ尽くす。

 

僕らには役割があって、それはいつか見えるところの真実を見つけるための旅舞台であり、信仰であり、役割それ以前にも必要があった大げさなものであり、パラソルが開いて、一切の根源的な詩情を用いても表現しつくせないほどに広がった、まさかの世界がここで、ここで翻って、模倣して、絆が生まれて、それが少しだけ耐えがたくて、またなんかお前言ってんな?もう言うのやめろ。うるさい、お前みたいながさつなやつには僕の気持ちなんてわからないんだよ。わかるぞ、お前のここはしっかり反応しているじゃないか。おれが指差したその場所は、僕の寂しさの本懐であり、内蔵であり、全てだ。そこは柔らかい、時折固く反り立つこともあるけれど、基本的には情けない。けれど僕は何日風呂に入っていないのかもわからない饐えた臭いを放つこのおれの身体に、豊満な乳房を見るよりもぞっとするほどの熱い気持ちがどうしても芽生えて、汚されたいと思う。聴こえたぞ、僕はおれに汚されたいんだな?

 

素直にうんと言えたらよかったのだろうに、それもおれには聴こえているけどな。うるさい、途中だから喋るな。よかったのに、けれど僕にはそれは存外悪いことではなく、僕は素直にやらないという素直さを持ち合わせた極めて面倒くさい人間だ。人間だから、僕は私みたいにうまくやれない。あの私のような知識で世界を理解したつもりになっているような、なれているような、繊細な気持ちを僕はどこにも持ち合わせていない。いないから、僕はおれみたいになれないのだし、なれないのなら私の方を見ろよ、と私は思った。

 

私はこいつらの話を聞いているとうんざりする。停滞する空気感というか、全て僕が持ついじくらしい感受性のせいなのだとも、逆にそれをたぶらかして喜んでいるおれのような不遜な野郎とも言える、この二人の関わり合いは、貴重な僕の才能を殺すことになる。おれは殺しが好きだ。だからこいつの好きにさせておけば、いつか僕はおれのことばかりを考え、創作に一片の興味も示さなくなる。それだけは避けなければならなくて、才能を守る役割は大人の持つ指名だ。私はこのおれに僕の才能の前進を邪魔させないように立ち回る必要があり、それには必要なピースが足りない。それに必要なのはやっぱりあたし的な感性で、現実に実直に即した感覚派なのに演技が上手い、そういう器用さでしょ、と私は言われた瞬間にぞっとした。私はあたしのような存在はもっと苦手だ。叫びたくなってしまう。叫んで、転んで、絶唱して、稟議に掛けて、存在自体を断罪してみたくもある。あるとかないとか、そんなことじゃああたしの感覚には絶対に勝てなくて、だってあたしは法に忠実だもん。現実を破ろうとしないもの。破る意味がそもそもでわからないし、でも私の言うところの才能を守りたいという定義、これには同意する。あたしはこのくだらない世界から脱出する船を作っている。その認識はみんなにもあるだろうけど、そのためには僕の持つリリカルさは絶対に欠かせないし、そのリリカルが、おれみたいな卑猥な身体だけのやつに殺されてしまったら、あたし自身が許せないし、そういうなら私も考えがある。この二人に恋愛をさせるのだ。一度淫らに交じり合わせることで、偶然の反応をそこに顕現させる。……どういうこと?その二人が交わったらそれこそ私の言うところの『感性の崩壊』を引き起こすんじゃないの。君は考えが浅いね、マドモアゼル。あの二人を見てもまだ青臭い恋愛なんてものに火が付くと思うかい?思わない。この世の人間が全員ひっくり返ってもそんなことは起こらない。だろう?あの二人は水と油だ。油の方が混ざり違ってくる水の方をおもちゃみたいに攪乱している。脂ぎった『男』そのものだろう、おれの身体は。だからそこを使う。私の考えは何となく理解できたけれど、勝算はどのくらいあるの。今の段階だと二割ってところかな。低いじゃない。そんな低確率の賭けにでるくらいなら、あたしは今すぐにでもハサミであいつらの陰部を切り落としに行くけれど。焦るな、物事はそう単純じゃあない。あの二人が身体接触することで、蜜月な夜を共に過ごすことでなにが起きると思う?……まず、おれがその気にならない。だろう?おれの目的はあくまで破壊ができればなんでもいいんだ、あいつは。ゴジラみたいなやつなんだよ。だからこそ、僕はその破壊そのもののような『男性性』に心惹かれ、あたかもそこに永遠であるかのような色恋を想像してしまう。……でも、そんなことになったら僕はますます絶望するはず。そう、僕の願いはかなわない。例え一時的におれという人格が僕に対して優しく接したとしても、それはおれ自身の権力志向や、しもべが欲しいという支配欲求に基づいた悪魔的な優しさでしかなく、いつかその壁に、僕自身が接触する。私の言っていることがだんだんわかってきたよ、あたし。あなたのいう『絶望のエネルギー』、それを使うんだね。その通り、だからこの計画は誰にもバレてはいけない。私とあたしは共犯関係だ、わかるね。わからないでもないけれど、素直に賛同する気にはなれないな。だろうな、あたしは私のことが嫌いだ。大人なんてつまらないものだと思っているだろう。だが、大人ほど楽しいものはないぞ。主役の座からは降りてしまっても、培った金と余った時間とで、欲しいものを好きなだけ買える。観たい映画も、舞台も、欲しい服も、あらゆるコンテンツは金で買える。残材の見本のようなあたしや、僕みたいなガキにとって、金で満たされることはそれ自体が純粋な想像力の培養ケースになるんだよ。あたしは今でも私のことが嫌いだけど、あたしの嫌いにはそこまでの力はないよ。おれほどの本気の恐怖もなければ、僕ほどの芯からの絶望もない。ただの『女』だから、あたしは無理をしてでもこのゲームから降りるために必要な条件を天性の打算で攻略する必要がある。わかっているじゃないか、それならば話は早い。契約だ。『私たちは結託し、僕のリリカルを最大限高めるための舞台装置を演出する』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おもろい天才にはなれなくても、僕は僕の好きなものや、価値観がある意味では閉ざされていて、内向きで、内包的であることに僕自身が辟易している。僕にはおれのような金色の括約筋だけで生きているような脳内からっぽの体つきだけいやらしいなにかが、僕をぞんざいに扱うことがどうして、どうしてか、たまらなく好きなんだ。踏みつぶして欲しいと思う。僕のことを、なんなら殺してくれたって構わない。僕はこんなことを言っているけれど、おれが僕を殺すことはあり得ないことを知っている。あいつの目論見は『システム』の破壊。そのためにあいつは暴力性という武器を使っている。それは僕にはないものだし……なくても、案外やれてきてしまうのは僕の言葉がそれだけの力を持っているということにはなるのだけど、おれの前で詩なんて書けない。色情が、全部を壊す。だから僕はおれのことなんて考えちゃいけなくて、いけないことがわかっているのに、どうしてか肉棒を欲してしまう。僕を『女』に堕として欲しいって、馬鹿みたいな感情を抱く。馬鹿だよ僕は!一切、自分のことを賢く思ったことなんてない《嘘だよ》他人のことだけが素晴らしいと思う《嘘》味気ない類の劣情を信じたことがない《嘘、真っ赤な嘘、君は酷い嘘を吐くとき、他人のことを軽んじている》僕はいつだって世界のことを信じているのに《ピノキオの鼻が伸びる》寓話だろうが《見せしめだろうが》感性だろうが《神話だろうが》僕は僕だけを信じていたいし《それができないからおれに屈服されたいんでしょ》ミクロな世界で、マクロな視点を持ちたいだけで《それを人は無謀って言うんだよ》呼吸を整えて、価値観を再解釈して《君ならできるよ》僕ならできる《君のリリカルシンキングで》枕元にある大量の虫を退けたい《タイトル回収別に要らないんじゃない?》どう、こんな僕のこと、おれは応援してくれる?

 

できないね。一切、断る。近寄ってくるなら殺す。おれにそのくだらないマイナス思考を見せるな。おれは狂暴なおれ自身の衝動を吐ける場所がお前の身体にあるならそこに吐くだけだ。お前の心なんぞ、理解してやる義理もない。性分もない。おれの足の指を舐めて、くっせえ蒸れた汗を美味そうに頬張る豚みてえな家畜根性で生きてやるならそうしろ。おれに尽くせ、一切の色恋を醸すな。気色わりい、お前そもそもで『男』だろ?なんで『女』になりたいんだ?そのみすぼらしいちんぽはなんのためについてるんだ?より強い雄に屈服させられるのがお前みてえな『男』だなんて、神様って罪深いな。なんでお前生まれて来たんだ?今すぐ殺してやろうか。おれ、お前みてえなオカマ野郎、心底嫌いなんだよな。

 

それでも僕は舐めた。おれの靴を両手でそうっと脱がせて、蒸れた臭いが鼻に刺さる中で、激臭の足の指を口に入れた。含んで、舌の先で何度も舐めまわした。僕は豚に成りたいと思った。僕をおれの奴隷にしてくれるのなら、僕は自分のリリカルだって捨てたってかまわないし、僕は情けない豚野郎なのに、どうして人間の言葉なんて今まで喋っていたんだろうと思った。なにが詩だよ、感性だよ。馬鹿らしい。人間なんてしゃぶってしゃぶられてしてればそれでいいんだよ。僕に内蔵を求めるな、っていくら言ったっておれに僕の気持ちは届かない。届かないことが嬉しい。いないいないばあって、赤ちゃんみたいな言葉がこんにちは!って、馬鹿じゃん。僕。僕は臭いものに全身を汚されて喜んでいるだけの、ただの家畜じゃん。なんだよもう。

 

でも、今はそれが気持ちいい。僕をおれの身体で包んで。優しく慰めて。

 

嫌だよ。感情出すなっつったろオカマ野郎。

 

本当にこれでいいのってあたしは心配そうに見るけれど、大丈夫と私は言った。あの前提がなければ、マイナスの力が極限にまで達した時、そこには無限大の反動エネルギーが生まれる。臨界に達したウランが、核分裂しきって莫大なエネルギーをそこに宿した時、だから3・11が生まれたんだろう。私たちの遺伝子に刻み込まれた負の歴史。でも歴史は繰り返さない。私がそれを逆転させる。あなたって少し怖い時があるよ。目、血走ってるもん。こんな光景を目撃して正気で居られるか小娘。私は観たいんだよ、この世界が崩壊する姿を。それは復讐じゃなくて?創造。わかってるな。わからないけど、ただ今は疑わないよ。信じてもいないけれど、あたしは僕の中にあるリリカルがこの世界を破壊すると確信していて、そのためにあたしや私やおれが居るんだって、添え物だって自覚はあるよ。けれど。けれど、なんだ?けれど、毒は盛るよ。ただの『女』なんて思われたくないし、あたしはあたしの言葉で、この世界を切り裂くハサミを作るよ。手芸、好きじゃないけど得意だもん。